アラビアの名医ラーゼスが、西暦900年頃、アラビアで民間薬的に煎じられて服用されていた、ビシニア産の木の実の液に興味を持ち、「陽気なさっぱりしたもので、胃に非常に良い」と書き残しているそうです。
当時のアラビアでは、コーヒーの果実を「バン」、それを煎じた飲み物を「バンカム」と呼んでいたみたいです。
以下、人間の科学社発行の『コーヒー学講義/著者は広瀬幸雄、星田宏司』という本からの引用です。
コーヒーについて触れた最も古い記録としては、アラビアの名医ラーゼス(865年~922年)のものがあります。
彼は900年ころ、アラビアで民間薬的に煎じられて服用されていた、ビシニア産の木の実の液に興味を持ち、「陽気なさっぱりしたもので、胃に非常に良い」と書き残しています。
当時、人々はコーヒーの果実をバン、煎じ出されて飲まれている液をバンカムと呼び、水に浸した生豆を殻のまま煮だして、一種の「霊薬」として用いていました。
すなわち、コーヒー飲用の始まりは、現在、私たちが嗜好品として飲んでいるものではなく、薬としての飲用法だったのです。
人間の科学社発行の『コーヒー学講義/著者は広瀬幸雄、星田宏司』には、ラーゼスの記録のあと100年を経て、やはりアラビア医学の権威であり哲学者であったアヴィセンナ(980年~1037年)は、以下のように記していると書いてあります。
「その逸品は、レモン色をしていて、見た目も明るく、よい香りがして、すこぶる好ましいが、白く濁ったものはよくない、・・・材料(豆)は外皮をきれいに取り去り、湿気の無くなるまで乾燥した特選品を使えば、素晴らしい匂いを間違いなく持ったものとなる」と、薬用であるが、香りの良いものという飲用としての芽生えも、記しています。
アラビアでは、当時、珈琲をエチオピアから取り寄せていたということで、異国的な珍しい薬物として、薬種商の店頭で売られていたそうですが、相当に高価な代物だったそうです。