コーヒー豆の焙煎工程では、ほとんど秒単位でコーヒー豆組織が変化していると言われています。
ですから、コーヒー生豆の種類や特徴、また焙煎したコーヒー豆の使用方法の違いによって、適切な焙煎度合(煎り具合)を設定する必要があると思っています。
その方法として、大まかに三段階に設定する方法から、五段階、あるいは六段階、さらに詳細に八段階に設定する方法などが知られています。
【参考】このブログ記事の2023年版は、年老いた珈琲豆焙煎屋がキンドルでセルフ出版している電子書籍『序説、コーヒー豆の自家焙煎』に収録しています。記事内容に使ってる字数は、このブログ記事の4倍くらいですから、ある程度は濃厚な記事になっていると自負しています。
【目次】
- 【1】焙煎度(ローストのグレード)
- 【2】焙煎度(三段階)
- 【3】焙煎度(八段階)
- 【4】焙煎度とPH
- 【5】シュリンケージ(モイスチャーロス)
- 【6】パフィング
- 【7】物理的変化
- 【8】焙煎コーヒー豆の色
【1】焙煎度(ローストのグレード)
コーヒー豆の焙煎中、苦味・酸味・香りなどの成分が、ほとんど秒単位で変化していると考えられます。
コーヒー豆は、焙煎の進行にともなって、うっすらとした黄色から、黄色、茶色、茶褐色、褐色と色が濃くなって行き、最終的には黒くなって灰化します。
しかし、灰化したコーヒー豆は、実用に耐えることはできません。
その昔から、焙煎度を大きく、「浅煎」・「中煎」・「深煎」の3段階に分ける方法と、ライトからイタリアンまで、8段階に分ける方法が知られています。
【2】焙煎度(三段階)
焙煎の過程を、「浅煎」・「中煎」・「深煎」の3段階に分ける方法。
「浅煎り」は、一般的に焙煎時間が短いので、色はライトブラウン、酸味を感じさせるコーヒーになります。
一般的に焙煎時間が長くなって、コーヒー豆の色がダークブラウンで、コーヒー豆のカラメル化が進行して苦味の強くなったコーヒーが、『深煎』のコーヒー豆です。
『中煎』は、色も味覚も焙煎時間も、浅煎と深煎の真ん中ということになります。
【3】焙煎度(八段階)
焙煎の過程を8段階に分ける方法。フレンチローストとイタリアンローストについては、年老いた珈琲豆焙煎屋は未経験の焙煎度です。
その8段階は、次の通りです。
(1)ライトロースト、(2)シナモンロースト、(3)ミディアムロースト、(4)ハイロースト、(5)シティーロースト、(6)フルシティーロースト、(7)フレンチロースト、(8)イタリアンロースト
【4】焙煎度とPH
アメリカで1959年に発表されたある論文によると、焙煎の進行にともなって遊離酸が増加するので、コーヒーのPHは低下して、メディアムローストあたりで、そのPHは最低になるということです。
その後、焙煎が深くなるに従って、遊離酸の量が減少して、PHは再び上昇すると書いてあります。
【5】シュリンケージ(モイスチャーロス)
コーヒーの生豆を焙煎するとコーヒー豆のかさは大きくなりますが、重量は、水分の減少などで12~18%くらい減少します。
この重量の目減り率を、コーヒー豆のシュリンケージと呼んでいます。
【6】パフィング
コーヒー生豆に含まれている水分の含有量は、10~13%くらいです。
また、焙煎工程での加熱にともなって、コーヒー豆は膨張します。
固かったコーヒーの生豆は、焙煎によって、指で強くおさえればつぶせるほどにもろくなります。
このような焙煎によって発生するコーヒー豆の物理的な状態変化をパフィングと呼んでいるようです。
【7】物理的変化
コーヒーの生豆は固くて重いのですが、焙煎コーヒー豆は膨れてもろくて軽くなっています。
焙煎コーヒー豆の容積も、ライトロースト(浅煎り)あたりから急に増加し始め、比重も急速に低下していきます。
また、コーヒー豆の固さも、焙煎が進むにつれて、急速にもろくなっていきます。
【8】焙煎コーヒー豆の色
焙煎が進むにしたがって、コーヒー豆の褐色が濃くなっていきます。
この焙煎コーヒー豆の褐色のもとになる物質を、コーヒーメラノイジンと呼んでいます。
焙煎コーヒー豆の約80%が、このコーヒーメラノイジン(コーヒー豆の褐色物質)と呼ばれている物質だと考えられます。
(参考)この記事と、ほぼ同じ内容の記事を『年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ』にも掲載しています。