珈琲ブログ

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令和版、コーヒーの基礎知識【第12章】水とコーヒーの抽出

コーヒー豆(生豆)は、南北回帰線の内側、熱帯地域に位置している生産国で収穫・精製されます。

そして、消費国に輸出されて、その消費国の消費地にて焙煎して、焙煎コーヒー豆(レギュラーコーヒーや自家焙煎コーヒー豆)になります。

コーヒー生豆は長期間の保存が可能ですが、焙煎したコーヒー豆は長期間の保存が出来ません。

 

その焙煎コーヒー豆を使って淹れたコーヒーが、私たちが毎日飲んでいる1杯のコーーです。

1杯のコーヒーとして提供されて、コーヒー豆(生豆)や焙煎コーヒー豆の評価が初めて可能になります。

 

昭和のコーヒー研究の第一人者の伊藤博さんは、「珈琲を科学する」の中で、次のように語っています。

筆者(年老いた珈琲豆焙煎屋)も、その考え方を継承しています。

コーヒー生豆、焙煎コーヒー豆という固体の原料から、液体のコーヒーへと品質レベルを維持しながら引き継いで行く仕上げの技術がコーヒー成分の抽出作業です。

ちなみに、「珈琲を科学する」は、1997年に時事通信社から出版された本です。

 

固体のコーヒー原料(焙煎コーヒー豆の粉)からコーヒー成分を抽出するのに、お湯(水)を使っています。

焙煎したコーヒー豆に含まれているコーヒー成分を、焙煎コーヒー豆から湯(水)の中に移動させる操作が、コーヒーを淹れるという操作だと考えています。

コーヒー成分の中には、湯(水)に溶け込む成分から湯(水)の中に分散しているだけの成分まで、色々な成分が存在しています。

私たちがいつも飲んでいる1杯のコーヒーは、その98%~99%が水で、溶けている(or分散している)コーヒー成分は1~2%くらいです。

ということで、水は、飲み物として提供されるコーヒーの大変重要な構成要件なると言われていて、筆者(年老いた珈琲豆焙煎屋)も、そのように考えています。

 

【目次】

 

【1】水溶液

砂糖を水の中に入れると、溶けて透明になり、目に見えなくなります。

水も砂糖も、たいへん小さな分子で出来ています。

通常、砂糖は、非常に多数の分子が寄り集まっている集合体ですから、目に見えます。

砂糖は目で見ることができますが、砂糖の分子1個1個は、たいへん小さくて、目には見えません。

砂糖を水の中にいれると、水が砂糖の粒と粒の間に入り込むため、砂糖の粒は、時間が経過するにつれて次第に小さくなっていきます。

そして、最終的には、目に見えない小さな分子となってしまいます。

このように、物質が小さな粒子となって液体の中に分散することを、溶解と呼んでいます。

グラニュー糖が水に溶ければ、無色透明になります。

しかし、茶色のコーヒーシュガーを水に溶かすと、透明ですが、茶色い色が水につきます。

色がついていても、向こうが透けて見えるなら、砂糖が水に溶けているといえます。

色がついていない透明を無色透明、色がついている透明を有色透明と呼んでいます。

水に砂糖を溶かすと、砂糖水になります。

砂糖のように、水などの液体に溶けている物質を溶質、水のように、溶質を溶かす液体を溶媒と呼んでいます。

そして、水を溶媒として使っている溶液を、水溶液と呼んでいます。

水溶液では、溶質は均一に溶けているので、どこをとっても同じ濃さになっています。

 

【2】コロイド溶液

コーヒーや牛乳などのように、透明ではないけれども、しばらく放置していても沈殿ができず、どこも同じような濃さになっている液体があります。

これらの液体は、砂糖水溶液とは違った性質を持っています。

砂糖水溶液とコーヒーの液体(コーヒー抽出液)に強い光を当て、横から観察すると、砂糖水溶液では何も見えません。

しかし、コーヒー抽出液では光の通路が見えます。

この現象をチンダル現象と呼んでいます。

砂糖水溶液では、水に溶けている砂糖の粒子が非常に小さいのに対し、コーヒー抽出液では、それよりも、ずっと大きなコーヒー成分の粒子が水の中に散らばっています。

そして、そのコーヒー成分の粒子が、光を散乱するので、光の通路が見えるわけです。

コーヒー抽出液のように、チンダル現象を起こす溶液に散らばっている粒子のことを、コロイド粒子と呼んでいます。

そして、コーヒー抽出液のように、コロイド粒子が分散している溶液を、コロイド溶液と呼んでいます。

生物の体液やセッケン水、ジュース、墨汁など、我々の周囲には、たくさんのコロイド溶液があります。

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