『リスクコミュニケーション』を略して、リスコミと呼んでいます。
普通に一般の人が考えている食品に対する概念・リスクと、科学的に分析した食品のリスクとの間には、相当な意識の隔たりが存在しています。
根拠のない漠然とした化学物質に対する不信感というものが存在していて、身近な食品リスクなどは、なかなか話題になることもありません。
同じような製造方法の同じ種類の商品について、A社の商品が賞味期限1年で、B社の商品が賞味期限1ヶ月であったとしても、誰も不思議に感じることもありません。
賞味期限は、製造者・販売者が、それぞれの基準で個々に決めているものです。
賞味期限に対する考え方が異なれば、その基準も変わってしまいます。
しかし、賞味期限1ヶ月であっても、1年であっても、その賞味期限を1日でも経過すれば、賞味期限切れということになってしまいます。
A社とB社の美味しさに対する考え方の違い、賞味期限に対する考え方の違いを考慮されるのは、稀なことです。
有名な食品企業が、賞味期限切れの商品を販売すれば話題になります。
世間に名前の知れ渡っている企業が、自分たちで決めた賞味期限を守れなかったのですから話題になって当然なのだと思います。
しかし、科学的に、それよりも重要だと考えられる小学校で栽培されたジャガイモによる食中毒や、ノロウィルスに感染した調理従事者からの二次汚染といった身近な出来事は、あまり話題になることがありません。
『逃げるな、隠すな、嘘つくな』が、リスコミのキャッチフレーズです。
このキャッチフレーズが実際に機能して、小心で臆病で正直な食品製造者や販売者が、絶対に損をすることのない時代の到来を期待している今日この頃です。