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エカワ珈琲店版、珈琲入門【2】コーヒーの栽培と収穫

種子を播いてからコーヒーノキが成長して結実するまでに約4年、それ以降、収穫が始まって6年目~10年目くらいが収穫のピークで、15年~20年くらいは一定の収穫が可能だといわれています。 

当然のことですが、その間、剪定、整枝、施肥、病害虫防除、除草などの手入れは欠かせません。

この記事では、コーヒーの栽培から収穫までをたどっています。

 

 

【目次】

 

【1】種まきから植え付け

根分け、さし木、つぎ木による方法もありますが、普通は、丈夫な木から採ったタネを播いて育てる方法でコーヒーノキを増やして行きます。

タネのまき方には、苗床で発芽させる方法と、苗床を使わず、土に穴を掘ってタネをまく方法があります。

どちらの方法でも、半年~1年後の雨季のはじめに成長した苗木を農園に移植します。

 

【2】剪定

剪定(せん定)の目的は、木の老化を防いで活性化させることにあります。

木の成長に合わせて、木を切って新芽を出させ、新しい幹を育てます。

そうすることによって、樹の勢いを強くして収穫量を増やし、樹の寿命を伸ばして豆の品質を良くしています。

 

【3】マルチング

枯草やマメ科植物、バナナの葉などを根の周囲に敷くマルチング(敷草・覆土)は、コーヒーの栽培に様々な効果をもたらしてくれます。

㈶科学技術教育協会発行の「コーヒーの科学」には、マルチング(Mulching)について以下のような効果を挙げています。

(1)表土の保護、逸散を防ぐ。

(2)流水を止めて、水分を与える。

(3)乾燥を予防して、発育を助ける。

(4)土壌分解を促進して、発育を助ける。

(5)雑草を抑えて、雑草に水分・栄養分を吸収されるのを防ぐ。

(6)木の周りに炭酸ガスを増やす。

(7)覆土に使われる素材は、肥料の効用を増す働きをする。

 

【4】肥培管理

コーヒーノキの栽培では、新しい土地であっても、20年~30年で土地の力が低下してしまいます。

コーヒーの木は、地中から、炭酸カルシウム、窒素、燐酸などを吸収するので、放置しておけば地力が低下します。

それを無視して収穫を続ければ、毎年のように収穫量が少なくなり、木そのものをダメにしてしまいます。

そこで、地力を維持しながら一定の生産量を上げるためには、施肥をどうしても欠かすことができません。

施肥が偏っていたり不足したりすると、その影響は必ず葉に現れて、コーヒーノキ全体への被害とコーヒー豆の品質低下を招くと言われています。

 

【5】日よけ(シェードツリー)

コーヒーの栽培には日光が必要ですが、それ以外に、毎日一定時間、木のまわりの地温を低く保つために日陰も必要です。

特に、幼木の期間は、強い日差しと地面の高温からコーヒーノキを守る必要があると言われています。

そのために、バナナ、マンゴー、ひまわりなど、その土地に適した樹木を併植して、コーヒーの木の周りに適度な日陰を作っています。

樹木をコーヒーノキと伴植して、適度な日陰を作ることで、強い炎熱からコーヒーノキを守っています。

このコーヒーノキと伴植する樹木のことをシェードツリーと呼んでいます。

 

【6】開花結実

コーヒーノキは、2~3年、順調に生育すると、ジャスミンのように甘くて爽やかな香りを放つ5弁の白い花をつけます。

その花の生命は、2~3日ぐらいです。

アラビカ種は自家受粉ですが、ロブスタ種は他家受粉です。

開花後、しばらくすれば、緑色の実が出てきます。

そして、6~8ヶ月後には、その実は赤く熟します。

収穫期の果実は赤く熟していてさくらんぼに似ているので、「コーヒーチェリー」と呼ばれています。

果実を樹上で放置しておくと、しだいに黒ずんで行きます。

 

【7】コーヒー果実の収穫

コーヒーの果実を摘み取る作業ですが、多くの国々では、労働集約型の手作業で行われていて、大変な労働力を必要とする作業です。

しかし、ブラジルのように、比較的に平坦で大きな農場では、コーヒー果実の収穫は機械化されているようです。

手作業で、あるいは機械で、そのどちらか一つの方法で、コーヒーの果実は収穫されています。

コーヒーの収穫期は、国によって違います。

ブラジルは5月~8月、コロンビアは3月~6月(メインクロップ)・10月~2月(スモールクロップ)の2度、グアテマラは8月~翌4月、エチオピアは9月~翌3月、インドネシアは年中(年3回)、という具合です。

ニュークロップは、最近収穫されて、コーヒーの精製処理が終了していて、焙煎加工に利用可能なコーヒー生豆。当年度産のコーヒー生豆。

カレントクロップも最近収穫されたコーヒー生豆ですが、カレントクロップ=ニュークロップではなくて、ニュークロップ>カレントクロップなのだと思います。

その前の年に収穫されたコーヒー豆を、パーストクロップと呼んでいます。

パーストクロップよりも以前に収穫されたコーヒー生豆を、オールドクロップと呼んでいるのだと思います。

例えば、2014年に収穫されたコーヒー生豆は、2014年/2015年産のコーヒー生豆として出荷されています。

それ以前に収穫されたコーヒー生豆は、オールドクロップ(old crop)、パーストクロップ(past crop)と呼ばれています。

 

【8】コーヒー豆の産地別特徴

コーヒー生豆の各産地別の特徴を、1990年代に購入した珈琲本を参考にして大雑把に書き出しました。

今(2023年)の感覚とは少しズレていると思いますが、それを考慮して読んで頂ければ少しは参考になると思います。

(1)ブラジル・サントス

適度な苦味と酸味、香りが良い。

(2)コロンビア・スプレモ

まろやかな酸味と円熟したコク、甘い香り。

(3)グァテマラ

上品な酸味、芳醇な風味、甘い香り。

(4)ブルーマウンテン(ジャマイカ)

調和のとれた味。

(5)ハワイコナ(アメリカ)

強い酸味、甘い香り。

(6)マンデリン(インドネシア)

コクと柔らかな苦味、上品な風味。

(7)ジャバロブスター(インドネシア)

強い苦味、独特の香り。

(8)モカ(エチオピア)

まろやかな酸味、芳醇な香りとコク。

(9)キリマンジャロ(タンザニア)

強い酸味と甘い香り、上品な風味。

 

各産地の全てのコーヒーが、そのような香味だというわけではありません。

当然、農作物ですから、ちょっとした環境の変化で香味が変ります。

また、生産者の思い入れによっても、香味は変わってきます。

何となく参考になるかもしれない、という程度の内容です。 

 

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【20世紀版】エカワ珈琲店の珈琲読本、第2章コーヒーの栽培と収穫の前編と後編は、この記事「エカワ珈琲店版、珈琲入門【2】コーヒーの栽培と収穫」の内容を膨らませた代物ですから、相当に豊富な内容を持つ記事だと思います。www.ekawacoffee.work

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