アラビア半島のイエメンでコーヒーが発見されたとする伝説。
シェイク(orシーク)・オマールという回教僧がコーヒーを発見したという伝説で、シェイクはアラビアの族長の称号だとされています。
広瀬幸雄さんと星田宏司さんの共著「コーヒー学講義/人間の科学社」の記述を引用させて頂くと・・・
珈琲の伝説の中で、もっともよく知られているのは、シェイク・オマールに関するものです。
彼は、貴重な飲料、すなわちコーヒーを発見した栄誉のために、聖職者として崇められるにいたりました。
モカを追放されたオマールは餓死しそうになったわけですが、その時、すばらしい羽根の鳥が木にとまるのを見て、その鳥の方へ走って行くと、鳥がとまっていた木には花と実がなっていました。
それがコーヒーの果実で、その果実の種(コーヒー豆)を煎って煮出して飲むと、香りの良い素晴らしい飲み物が出来上がったそうです。
コーヒーによって元気を取り戻したオマールは、そのコーヒーで多くの人たちの病気を治したので、モカに呼び戻されたて、聖人として寺院を寄進されたという伝説がオマールのコーヒー発見伝説です。
旦部幸博さんの著作「珈琲の世界史」曰く、世間に出回っているコーヒーの本を読むと、コーヒーとヒトとの出会いについては、『ヤギ飼いカルディー発見説』と『シェーク・オマール』発見説の2つのエピソードが知られていて、改変されたバージョンが幾つもあるとのことです。
これらの発見伝説は、いずれも史実では無くて、説話や民間伝承の類だとする17世紀半ばに著された文献が残っているとのことです。