コーヒーの起源に関する伝説で有名なのが、カルディーの伝説とオマールの伝説です。
そして、これらのコーヒー起源伝説の主人公はイスラム教の僧侶で、スーフィーと呼ばれるイスラム神秘主義の宗派に属する僧侶です。
コーヒーが飲まれるようになって、イスラム世界でコーヒーが普及して行くのに、スーフィー(イスラム神秘主義)の僧侶たちが多大な貢献をしていると考えられています。
メソポタミア地方のクーファという町に、マントを身にまとい荒野で宗教的苦行を行う僧侶たちが出現したのは8世紀の末のことだと言われていて、このマントを身にまとった僧侶たちをスーフィーと呼んだのがスーフィズム(イスラム神秘主義)の宗派の始まりだと言われています。
コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)
- 作者: 臼井隆一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1992/10/01
- メディア: 新書
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4分の1世紀に渡ってロングセラーを続けている名著。20年前と最近(2017年)の2度購入しました。最初は和歌山市内の書店で、最近はアマゾンで購入しました。(もう一度読もうと思って20年前に購入した本を探したのですが、見つからなかったので)
夜も眠らず修行に励むスーフィー(イスラム神秘主義)の僧侶たちにとって、飲むと食欲を減退させて興奮して眠れなくなるコーヒーは、現世否定・禁欲主義のスーフィズムと相性が良かったのだと思います。
スーフィー(イスラム神秘主義)の僧侶たちは、家を持たず、各地の教会から教会を渡り歩いて彷徨う人たちだったので、その事もコーヒー飲用の普及に関係があったと考えられます。
もし、スーフィー(イスラム神秘主義)の僧侶たちがコーヒーを飲用しなかったならば、そして、彼らによってコーヒーが庇護されていなかったとしたら、コーヒーは迫害を受けて、その普及は相当に遅れていたかもしれません。
何といっても、コーヒー伝播の歴史は、コーヒー迫害の歴史でもあるわけですから。