昭和の時代、関西地方の喫茶店では、一度で大量に(10~20杯くらい)淹れたコーヒー抽出液に砂糖を混ぜ合わせて、それを加熱して砂糖をコーヒー抽出液に溶け込ませて、その砂糖の溶け込んでいるコーヒー抽出液を入れた容器を水で冷やして、ほほ熱が消えた段階で保存用容器に詰め替えて冷蔵庫で保存する「冷たいコーヒー」を冷こお(レイコー)と呼んでいました。
何故、淹れたコーヒーに砂糖を溶け込ませるのかというと、コーヒー抽出液に砂糖や塩を混ぜ合わせて保存すると、保存しているコーヒー抽出液の劣化スピードが遅くなるからです。
昭和の時代、小規模な喫茶店でも、1日に数十杯の冷こお(レイコー)が売れていたわけですから・・・。
冷こお(レイコー)は、氷の入っているコップに注がれて、お客さんに提供されます。お客さんの大半は、フレッシュクリームを添加して飲んでいました。
冷こお(レイコー)にフレッシュクリームを添加して飲むと、ミルクの風味とまろやかな味の「冷たいコーヒー」が出来たからだと推測しています。
参考までにですが、昭和の時代、冷こお(レイコー)用に焙煎加工したコーヒー豆は、ロブスター種のコーヒー生豆の混合割合が高い苦味重視の焙煎コーヒー豆でした。
その後、サイフォンコーヒーが売り物の珈琲専門店が登場して来て、淹れたてのコーヒーを氷を入れたコップに注ぐ無添加(ブラックコーヒー)の日本式アイスコーヒーの時代がやって来ます。
しかし、ロブスターコーヒーの配合比率が高くて深煎りの苦味重視の焙煎コーヒー豆を使って淹れていたので、ブラックコーヒーを味わう消費者もいましたが、大半の消費者は、ガムシロップやフレッシュクリームを添加して苦味を和らげて飲んでいました。
平成の時代になると、ブラックで味わえるアイスコーヒー用に焙煎・ブレンドしたコーヒー豆が登場して来て、冷こお(レイコー)が姿を消して行って、アイスコーヒーはブラックで供するようになって行きました。