エカワ珈琲店版、珈琲用語集

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コーヒー豆と水分、含水率(水分含量)と水分活性

 

コーヒー生豆には、10%前後の水分が含まれています。 

このコーヒー生豆に含まれている水分が、コーヒー豆の焙煎で大変重要な役割を演じていて、だから「蒸らし」という焙煎プロセスが必要だと、その昔、何かの本か雑誌で読んだか誰かに聞いた記憶があります。

 

年老いた珈琲豆焙煎屋は、コーヒー生豆に含まれている「水分」についての認識が、ものすごくあやふやです。

それでも、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しながら直火型の業務用小型ドラム式コーヒー豆焙煎機を使って、30数年、毎日のようにコーヒー豆を自家焙煎していると、コーヒー生豆に含まれている「水分」を上手く利用して、それなりのレベルの焙煎コーヒー豆を自家焙煎できるようになっています。

 

コーヒー生豆に含まれている「水分」についての認識があやふやでも、日々のコーヒー豆焙煎にはそれほど支障が出ていません。(そう考えているだけかもしれませんが)

しかし、一緒にコーヒー豆焙煎作業に従事している者同士の間でなら、そのあやふやな認識でも話が通じますが、それ以外の他の誰かにコーヒー豆焙煎について説明するとなると、おそらく話が通じ無いだろうと思います。

 

そこで、年老いた珈琲豆焙煎屋(エカワ珈琲店の店主)は、それ以外の他の誰かにコーヒー豆焙煎を説明できるレベルの認識を持つべく、コーヒー豆に含まれている「水分」について食品工学や食品学の基礎的な解説書を参考にして、以下のような学習ノートを作成しています。

 

【目次】

 

(注目)この記事「コーヒー豆と水分、含水率(水分含量)と水分活性」と、大体同じ内容のテキストを、キンドルでセルフ出版している電子書籍「コーヒー豆自家焙煎談義(第5集)」に収録しています。

販売価格は1冊250円ですが、キンドル・アンリミテッドの会員さんなら無料で読んで(レンタルして)頂けます。

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(1)コーヒー豆の含水率(水分含量) | 食品工学、食品学の専門書より

食品の含水率には、湿重量基準含水率と乾重量基準含水率という2つの表し方があります。

例えば、コーヒー生豆100gに12gの水分が含まれている場合です。

もとの12gの水を含んでいるコーヒー生豆の重量(湿り材料、重量は100g)に対する水の重量の比が湿重量基準含水率ですから、湿重量基準含水率は、12÷100=0.12(12%)となります。

 

一方、全く水を含まないコーヒー生豆の重量(乾き材料)に対する水の重量の比で表す乾重量基準含水率だと、全く水を含まないコーヒー生豆の重量は100-12=88gですから、12÷88=0.136(13.6%)となります。

湿重量基準含水率は100%を超えることはありませんが、乾重量基準含水率は100%を超えることもあります。(コーヒー生豆の場合、考えられませんが)

 

上記のように、湿重量基準含水率と乾重量基準含水率は、分母が異なっているので数値(答え)も異なります。

ちなみに、湿重量基準含水率の単位は「kg-水/kg-湿り材料」で、乾重量基準含水率の単位は「kg-水/kg-乾き材料」となります。

一般的に、コーヒー生豆の含水率は、湿重量基準含水率で表されます。

 

(2)コーヒー豆の含水率(水分含量) | 20世紀の珈琲本より

20世紀に発行されたある珈琲本には、コーヒー生豆の含水率とはコーヒー生豆の乾燥度のことで、ニュークロップ(その年に収穫精製されたコーヒー生豆)の場合、水洗式で12~13%、乾燥式では11~12%と記されてあります。

含水率が高めだと保存中にカビ豆になることもあり、含水率が極端に小さい、例えば7%のコーヒー生豆では、焙煎するとすぐに焦げてしまうとも記されています。

 

以下は、2000年前後の頃に発行された日本コーヒー文化学会編集の「コーヒーの事典」からの引用です。

水分含量が多い場合(14~15%以上)には細菌類(特にカビ類)の増加が問題となり、逆に少ない場合(10%以下)脆性(ぜいせい)が増し搬送時の衝撃などで割れ豆が増加することがある。

品質に及ぼす影響が大きいため、生産国においても消費国においても、コーヒー生豆の水分含量が品質管理の指標として用いられている。

コーヒー生豆の水分含量は、平均・ばらつきに地域による違いが認められ、生産方法や精製方法の影響が考えられる。

なお、コーヒー生豆の色と水分含量に相関はなく、外見から判断できない。

 

参考までに、焙煎コーヒー豆の水分含量についてです。

こちらも、日本コーヒー文化学会編集の「コーヒーの事典」からの引用で説明します。

焙煎豆には1~3%程度の水分が含まれ、焙煎後空冷したものに比べて水冷したものの含量が多くなる傾向がみられる。

工業用レギュラーコーヒーの場合、豆からの総発熱量が大きいために冷却に水が使用される。

適度な水分は豆の劣化を速めることにつながるため、焙煎豆の水分含量も品質管理の指標とされている。

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