コーヒーの実の「果肉」を、イエメンではギシルと呼んでいます。
イエメンの伝統的なコーヒー、カフア・アル・ギシルは、コーヒーの果肉(乾燥した)から作るコーヒーで、ギシル・コーヒーとも呼ばれています。
コーヒーの発見伝説には、コーヒーがエチオピアで発見されたとする伝説と、アラビア半島のイエメンで発見されたとする伝説があります。
後者のイエメンで発見されたとする伝説が、「オマールの小鳥」の伝説です。
そのイエメンでは、コーヒー豆の部分を「ブン」、果実の部分を「ギシル」と呼んでいて、コーヒー果肉の部分を乾燥させたギシルを使って淹れた飲み物(ギシルコーヒー)が好まれているそうです。
廣瀬幸雄さんの著作「我が輩は珈琲博士」から、ギシルコーヒーに関する記述を抜粋して引用させて頂きます。
果肉と一緒にカルダモン、グローブ、シナモン、ジンジャーといった香辛料を煮て、たっぷりの砂糖を入れて味わいます。
初めて口にした時に薬のような味 がしたのは、私が何も入れずに飲んだからでした。
試しに砂糖とミルクを入れてみると、インドのチャイ(甘く煮だしたミルクティー)のようで、これはこれで美味でした。
コーヒーは、古くは果肉部分を薬や眠気覚ましとして使ってきた歴史があって、東京薬科大学の岡希太郎名誉教授も、自著でギシルコーヒーを「漢方の五味五薬と同じ成分」と指摘していると「我が輩は珈琲博士」に記載されています。
要するにギシルとは、コーヒー果実を乾燥させて作るお茶(コーヒーティー)のようなものだとエカワ珈琲店は解釈しています。
最近(2018年)では、カスカラコーヒーティー(orコーヒーティー)という名前で市場に出ているようです。