コーヒーの品質で、最も重要なのが「香り」なのだと思います。
コーヒーの香りは、コーヒー生豆に含まれている成分を前駆物質として、焙煎による熱反応によって生成すると考えられています。
酸、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、硫黄化合物、フェノール、窒素化合物など、無数の揮発性成分の複合したものがコーヒーの香りなのだと思います。
㈱兼松が輸入販売しているエチオピア・サハマ農園産モカコーヒーに対するQグレーダーのカップ評価図です。
【1】油脂成分の変化
コーヒー豆の細胞の中には、油脂分が油滴として細胞壁などに引っ付いています。
それが、焙煎の進行にしたがって、溶出してコーヒー豆の内部に分散していきます。
この油脂分の量ですが、コーヒー生豆に含まれている量も、焙煎コーヒー豆に含まれている量も、ほとんど変わりがありません。
【2】油脂成分とチャフ
コーヒー生豆のチャフ(渋皮)は、焙煎中に水蒸気がコーヒー豆から放出される時の圧力でコーヒー豆から引き離されます。
しかし、センターカット部分などの焙煎コーヒー豆の内部には、チャフが残っています。
このチャフには、香り成分を吸収している油脂成分がしみ込んでいます。
【3】焙煎と香り
コーヒーの香りは、コーヒー生豆の成分が、焙煎によって分解したり、分解して新たに出現した成分同士が反応したりして生成します。
コーヒーの香気成分として、1000種類近くの成分の存在が確認されていますが、コーヒーの香りを代表する香気成分の確定は、未だにできていません。
コーヒーの香りは、コーヒー生豆を焙煎することで生成します。
まだ知られていない香気成分も多いので、未だに、天然のコーヒーの香りに似た香りは作られていません。
【4】フレーバープリカーサー
フレーバーのもとになる物質(前駆体)のことを、フレーバープリカーサーと呼んでいます。
ショ糖、クロロゲン酸、タンパク質、トリゴネリンなどの物質です。
【5】香気の生成
コーヒーの香りは、有機酸、アルコール、硫黄化合物、フラン化合物、マントール、カルボニル化合物、窒素化合物など、無数の揮発性香気成分が複合してコーヒーらしさを作っているのだと思います。
脂肪、タンパク質、遊離アミノ酸、ショ糖などの熱による反応で、コーヒーの香りが作られます。
熱による主な反応として、熱分解、ストレッカー分解、メイラード反応(アミノカルボニル反応)などがあります。
【6】香気成分
焙煎コーヒー豆に特有な香りを形作る成分のことを、香気成分と呼んでいます。
コーヒーの香りは、コーヒー生豆を焙煎することで生成します。
焙煎コーヒー豆には、1000種類近くの香気成分の存在が確認されていますが、いまだに、コーヒーの香り(アロマ)を形成する香気成分を特定できていません。
【7】アロマとフレーバー
香りを表現する際、『アロマ』と『フレーバー』という言葉をよく使用します。
鼻で感じる香り、食品から感じられる香りのことを『アロマ』と呼んでいます。
一方、『フレーバー』は、食べ物を口で味わった時に感じる香りです。
コーヒーの香りは、非常に数多くの香気成分が、複雑に絡み合って作られています。
濃度の薄い時には、心地よいと感じる香りであっても、濃くなると不快なニオイとなる香気成分もあります。
【8】コーヒーアロマ
コーヒーを口にしたときの感覚には、「味覚」と「口触り」の2つがあるのだと思います。
コーヒーの味覚は甘味・塩味・苦味・酸味で、コーヒーの口触りは温感・渋み・濃度なのだと思っています。
コーヒーの香りは、味覚と口触り、その2つの感覚と混じりあって、複合的な風味を作り出しているのだと思います。
そして、バランスの取れた風味が存在していることで、はじめて、そのコーヒーを美味しいと感じることができるのだと思います。
ですから、スペシャリティーコーヒーにとって、一番重要な属性は「コーヒーの香り」なのかもしれません。
【9】ローストフレーバー
ライトローストの焙煎コーヒー豆には、そのコーヒー豆が本来持っているフレーバー(オリジナルフレーバー)が最も強く現れます。
そのコーヒー豆がもともと持っているオリジナルのフレーバーは、コーヒーノキの種、栽培地の土壌や標高、気象条件によって作られます。
ロースト(焙煎)が深くなって行くとともに、コーヒー豆のオリジンフレーバーは、そのコーヒー豆を焙煎(ロースト)することで作られるフレーバーによって覆い隠されて行きます。
【10】香りの化学反応
コーヒー豆の香りを生成する化学反応として、カラメル化反応、ストレッカー分解、アミノカルボニル反応(メイラード反応)、褐変反応などが知られています。
コーヒー生豆が茶色やきつね色、褐色に変色することを『褐変反応』と呼んでいます。
『褐変反応』には、「酵素的反応」と「非酵素的反応」があります。
コーヒーの『褐変反応』は、主に、非酵素的褐変反応です。
この非酵素的褐変反応も、『カラメル化反応』と『アミノカルボニル反応(メイラード反応)』に分けられます。
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