コーヒー生豆は農産物ですから、その品質は、生産地、生産者、天候、収穫時期などの自然条件に左右されます。
ですから、コーヒー生豆の品質が、常に一定ということは有り得ません。
ということで、一定の香味を維持するために、いろいろと性格の異なるコーヒー豆を混ぜ合わせて焙煎コーヒー豆の香味をコントロールして、常に、コーヒーの香味を一定水準に保持させることがブレンドの一番の目的だと、昭和の時代に発刊された珈琲関係の書物には書いてあります。
ちなみに、現在(2016年)のエカワ珈琲店はスペシャリティーコーヒー中心の商売を営んでいるので、当然のことながら、コーヒーの香味を一定水準に保つことにはこだわっていません。
【1】スペシャリティーコーヒー、シングルオリジン
特別で理想的な気候や環境のもとで成長した、欠陥の無いほぼ完璧な香味のコーヒーをスペシャリティーコーヒーと表現しているようです。
『シングルオリジン』という用語は、「単一の場所」で栽培・収穫されたコーヒー豆を表現するときに使われているようです。
【2】ストレートコーヒー豆
生産地で収穫されたコーヒー生豆を単品(単銘柄)で焙煎したコーヒー豆を、ストレートコーヒー豆と呼んでいるのだと思います。
ブルーマウンテン・キューバ・モカマタリ・ブラジル・コロンビア・グアテマラと、生産国名・生産地名・出荷港名などで呼ばれています。
【3】ブレンドコーヒー豆
モカ・ブラジル・コロンビアといった単品(ストレート)銘柄のコーヒー豆を、2種類以上混ぜ合わせたものをブレンドコーヒー豆と表現しています。
コーヒー豆の特性を生かしながら、お互いの持たないところを補いあって、ストレートコーヒー豆の持つ香味を超えたバランスの良い豊潤な香味を創造することが、ブレンドの醍醐味なのかもしれません。
【4】ブレンドの目的
コーヒー豆自家焙煎店の立場でブレンドの目的を考える場合、自店独自の個性を出すためという目的と、経済的な目的(価格と品質の安定化)の2つの面があるのだと思います。
自店好みのコーヒーの香味を創り出すのがブレンドコーヒー創りの醍醐味だと思うのですが、コーヒー豆自家焙煎店の場合、どうしても商品(価格や品質の安定)としての性格が優先されます。
制約に縛られることなく、ただひたむきに美味探究に邁進できるのは、自宅で自分流にブレンドコーヒーを楽しんでいる人たちの特権なのだと思います。
【5】混合焙煎と単品焙煎のブレンド
何種類かの銘柄のコーヒー生豆を焙煎前に混ぜ合わせて、それを何日間か保管して、混ぜ合わせたコーヒー生豆を、お互いに馴染ませてから焙煎する方法を混合焙煎(プレミックス焙煎)と呼んでいるのだと思います。
大量に焙煎する場合や、深く焙煎する場合に適した方法です。
単品焙煎(アフターミックス焙煎)は、それぞれのコーヒー生豆に適した焙煎方法で別々に焙煎した後、その焙煎したコーヒー豆をブレンドする方法です。
日本の自家焙煎店では、この方法が主流です。
【6】ブレンドの効果
(財)科学技術教育協会発行の『コーヒーの科学』によると、ブレンドの効果として、
①配合するコーヒー豆の優れた性質を増やす、相乗効果。
②すぐれた性質を、お互いに打ち消しあう相殺効果。
③単品では現れない、優れた性質を引き出す効果。
の3つをあげています。
【7】コーヒー豆の特性
各国のコーヒー豆の特徴を、大雑把にまとめると以下のとおりです。(昭和の時代のデータですから、あくまで参考です。)
酸味を感じるコーヒー
モカ、コロンビア、キリマンジャロ、ケニア、ハワイコナ
苦味を感じるコーヒー
ジャバロブスター、マンデリン
甘味を感じるコーヒー
ブルーマウンテン、コロンビア、モカ、ドミニカ
中庸
ブラジル
【8】ブレンドの配合例
記憶があいまいなのですが、昭和の時代(30年くらい前)に教えてもらったブレンドコーヒーの配合例を紹介します。
当時とは、コーヒー生豆の品質も変化していると思うので、あくまで参考です。
酸味のあるブレンド
コロンビア30%、ブラジル30%、グアテマラ20%、モカ20%
苦味のあるブレンド
コロンビア30%、ブラジル30%、キリマンジャロ20%、ロブスタ20%
コクのあるブレンド
コロンビア40%、ブラジル20%、グアテマラ20%、マンデリン20%
一般的なブレンド
コロンビア40%、ブラジル30%、モカ20%、ロブスタ10%
以上、昭和の時代のデータですから、あくまで参考です。
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