コーヒーノキの栽培条件や収穫時期、また、コーヒー豆がどのように精製処理されたかは、コーヒー豆の品質価値を大きく左右する要因だと言われています。
特に、コーヒー豆精製工程での品質管理は、消費者が飲む一杯のコーヒーの香味を大きく左右するとも言われています。
収穫したコーヒー果実は生ものですから、できるだけ素早く乾燥処理する必要があります。
コーヒー豆に含まれる水分含量を低く抑えることで、出荷までの倉庫での貯蔵と、出荷してから消費されるまでの期間の品質保持を図っています。
(coffee network より引用した写真です)
【1】コーヒーの精製
コーヒーの果実から、外皮、果肉、内果皮、銀皮を取り除いて種子を取り出す工程をコーヒーの精製と呼んでいます。
収穫されたコーヒー果実は生ものですから、そのまま放置すれば、すぐに腐敗してしまいます。
そのため、収穫後、早めに乾燥処理をして、水分含有量を極力少なくして、倉庫での貯蔵と流通輸送期間に対応できるように品質保持を図る必要があります。
精製処理方法として、水洗式(ウォッシュド/ウェットプロセス)、非水洗式(アン・ウォッシュド/ドライプロセス)、水洗式と非水洗式のハイブリットである半水洗式(セミウォッシュド/セミ・ドライ・プロセス)の3通りの処理方法が知られています。
そして、その3通りの精製処理方法を、場所や地域の資源に応じて使い分けています。
【2】水洗式(ウォッシュド)
水洗式は、豊富な水と設備・手間が必要でコストが高くなりますが、一般に異物の混入が少なくて美しいコーヒー豆に仕上がると言われています。
しかし、不手際などがあると、発酵臭や酸味が強くなったりする可能性もあるようです。
【3】非水洗式(アン・ウォッシュド)
非水洗式は、操作が簡単で、大規模な設備を必要とせず、上手に管理ができれば、良質で熟成した香味を持つコーヒー豆が出来上がると言われています。
しかし、天候の影響を受けやすく、乾燥に必要な期間も長く、欠点豆の混入率も高くなる傾向があると言われています。
【4】半水洗式(セミウォッシュド/セミドライプロセス)
半水洗式は、ウェツトプロセスとドライプロセス、それぞれの利点を取り入れたハイブリット型のコーヒー豆精製方法です。
新しい機械の処理能力、機械の導入に伴う設備・費用・労力、それらと生豆価格との調整など、様々な問題点もあるのですが、第3の精製方法としての品質的評価は得られつつあるようです。
【5】出荷時の精製
水洗式でも、非水洗式でも、最終的には、水分含量が11%前後くらいになるように乾燥させます。
乾燥させることで、商品価値を維持して容易に輸送できるようになります。
最終的には、パーチメントコーヒーを研磨して、パーチメント(内果皮)やシルバースキン(銀皮)を除去して、グリーンコーヒー(生豆)となります。
グリーンコーヒー豆は、さらに手作業(ハンドピック)によって欠点豆を取り除いています。
【6】欠点豆の選別
精製されたコーヒー生豆は、さらに欠点豆を取り除く作業(ハンドピック)による選別を行います。
不完全なコーヒー生豆、欠点のあるコーヒー生豆が欠点豆で、それらの豆が存在すると、不快な異臭が混じったりして、コーヒーの香味に悪い影響を与えます。
コーヒー生豆の欠点豆は、樹木での成育中、収穫時、精製過程のいずれかで作られます。
欠点豆の混入が香味にとってプラスに働くことは有り得無いわけですから、除去するのが原則です。
欠点豆には、黒豆、発酵豆、カビ豆、未熟豆、砕け豆・貝殻豆、虫くい豆、ドライチェリーなどがあります。
【7】格付け・分類
コーヒー生産国では、輸出に際してコーヒー豆の格付け・分類を行って、商取引の基準としています。
その基準は生産国によって異なっていますが、大きく分けると「豆の外観の美しさや大きさ、均一性などによる格付け」と「風味による格付け」となります。
コーヒー豆の外観による格付けでは、コーヒー豆の大きさ(サイズ)による等級・格付けと、欠点数による等級格付けがあります。
風味による格付けでは、コーヒー生豆をサンプルロースターで焙煎して、カップテストをすることで風味・香りを判定します。
【8】品質表示
コーヒー豆が、生産国から消費国へ、売り手から買い手へと取引が行われる際、コーヒー豆の名称や品質など、その履歴が判る必要があります。
その手がかりとなるのが、コーヒー生豆に添付される品質表示です。
品質表示には、一定の基準があります。
(1)生産国名
どの国の、どの地域で収穫されたか。
コロンビア・メデリン、モカ・ハラーなど。
(2)輸出港名
たとえば、ブラジル・サントスは、サントス港から出荷されたコーヒー。
(3)原種名
アラビカとロブスタの区別。
ベトナム・ロブスター、ケニア・アラビカなど、国名の下に原種名を記入することが多い。
(4)等級と格付け
水洗式と非水洗式などの精製方法や、品質の等級、粒の大きさ、標高の違い、風味の違いなどが表示されます。
【9】カフェインの除去
コーヒー生豆の段階で、カフェインの除去が行われます。
カフェインを除去する方法ですが、多くの方法が知られています。
カフェインを取り除くのに有機溶媒を使う方法がありますが、日本ではこの方法でカフェインを取り除いたコーヒー生豆は使用できません。
日本では、水や二酸化炭素を利用してカフェインを取り除いたコーヒー生豆が流通しています。
水を使ってカフェインを除去する方法としては、スイスウォータープロセスが有名です。
二酸化炭素を使って除去する方法としては、気体と液体の両方の性質を持つ超臨界流体を利用する方法が注目をあびています。
【10】コーヒー生豆の出荷
農園で収穫されたコーヒーの果実は、まず集荷されて、次に精製されます。
精製後、選別されて格付けが行われ、パーチメントコーヒーの状態で倉庫に保管されます。
そして、取引が成立すると、倉庫から出荷されることになります。
パーチメントコーヒーを脱穀すると、輸出向けのコーヒー生豆が誕生します。
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