コーヒーは、生豆の状態では味も香りも無いのですが、焙煎という加熱操作を経ることで、コーヒー特有の色、香り、味が出来上がります。
コーヒー生豆の色々な成分が、個々に、あるいは成分同士が熱によって連続的に複雑な化学反応を起こすことで、コーヒー特有の色、香り、味が生み出されてるのだと思います。
コーヒーの香りや味、色は、そのすべてがコーヒー生豆に含まれている成分が前駆物質となっていて、コーヒー豆焙煎時の熱反応を受けて、複雑なプロセスを経て形成されていると考えられています。
【参考とPR】このエントリー記事は、年老いた珈琲豆焙煎屋がキンドルでセルフ出版している電子書籍「序説コーヒー豆の自家焙煎」に収録している「コーヒーの成分と味」の部分を短縮した記事です。
【目次】
- (1)味のバランス、コーヒー成分と味
- (2)コーヒーの成分
- (3)コーヒー生豆と酸味
- (4)コーヒーと酸味
- (5)焙煎と酸味
- (6)コーヒーの苦味
- (7)焙煎と苦味成分
- (8)クロロゲン酸と苦味
- (9)コーヒーの甘味
- (10)クロロゲン酸と渋味
(1)味のバランス、コーヒー成分と味
コーヒーの味は、基本的に、酸味と苦味のバランスによって決まります。
酸味と苦味は、コーヒー生豆の銘柄・種類の違いによっても変りますが、焙煎によっても大きな違いが出てきます。
(2)コーヒーの成分
コーヒー生豆を焙煎すると、その焙煎プロセスにおいて、コーヒー豆の成分が熱分解を起こして、コーヒー独特の味・色・香りを生成します。
カフェインは苦味、タンニン様物質であるクロロゲン酸は苦味と渋味、酸味は酢酸・リンゴ酸・クエン酸などから生成すると言われています。
香りは、ピラジン類など1000種以上の化合物が明らかになっています。
(3)コーヒー生豆と酸味
コーヒーの酸味は、柑橘系の少し甘味のある酸味(すっぱさ)です。
この良質の柑橘系の酸をたくさん含んでいるコーヒー生豆が、品質の良いコーヒー生豆だと言われています。
(4)コーヒーと酸味
焙煎したコーヒー豆に含まれている酸は、水に溶けると、プラスのイオンとマイナスのイオンに分れます。これを、解離と呼んでいます。
そのとき発生するプラスの水素イオンが、コーヒーを飲んだときに感じる、心地よい酸味(すっぱさ)の正体だと思っています。
(5)焙煎と酸味
コーヒーの酸味は、クロロゲン酸、クエン酸、ギ酸、酢酸などなど、たくさんの酸によって作られていると考えられています。
焙煎の過程で、新たに有機酸が生成されて、焙煎が深くなると、有機酸が、多孔質のコーヒー豆の組織に吸着されるので酸味が少なくなるとも言われています。
(6)コーヒーの苦味
コーヒーの苦味は、さっぱりとしたキレの良い苦味でなければなりません。
コーヒーの苦味は、コーヒーの複雑な味や風味を生み出す重要な成分だと考えられています。
ごく少量の苦味であっても、人間の舌は苦味を感じます。
(7)焙煎と苦味成分
コーヒーの生豆に含まれている苦味成分はカフェインとトリゴネリンで、アルカロイドと呼ばれている成分です。
しかし、カフェインやトリゴネリンが、コーヒーの苦味にとって重要な成分だと考えるのには、少し無理があるようです。
焙煎によって新しい苦味成分が生成してきますが、この焙煎によって新しく生成する苦味成分が、コーヒーの苦味の中心となっている成分だと思っています。
(8)クロロゲン酸と苦味
コーヒーの味覚に影響を与えている化学物質は、数多く存在しているのだと思います。
その中で、コーヒー生豆に比較的に数多く含まれているクロロゲン酸類が、コーヒーの味覚に様々な影響を与えていると年老いた珈琲豆焙煎屋は思っています。
コーヒーの苦味の一番の原因は、焙煎によって生成するクロロゲン酸関連物質だとする考え方が、1980年代頃から、「コーヒーの苦味」原因の主流になっていました。
(9)コーヒーの甘味
コーヒーの酸味は、果物の酸味と同じで、少し甘味を持っています。
この果糖の甘味が、中深煎りの焙煎度合いの自家焙煎コーヒー豆の主な甘味成分だと、エカワ珈琲店(店主は年老いた珈琲豆焙煎屋)は考えています。
(10)クロロゲン酸と渋味
渋味とは、舌にしびれを感じさせる味、収斂性の味です。
紅茶や緑茶に含まれているタンニンと呼ばれている成分が、この渋味を持っています。
コーヒーには、紅茶や緑茶に含まれているようなタンニン成分が含まれていません。
コーヒーの渋味の原因となっている成分は、クロロゲン酸類だと理解しています。
【参考】『年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ』の下のリンク先ページの記事も、このページの記事とほぼ同じ内容の記事ですが、このページの記事よりも内容は詳しくなっています。
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